グーグルの有効性と危険性 | 日月抄ー読書雑感

グーグルの有効性と危険性

パソコンを始めて10年目、丁度インターネットが出てきたころである。その後メーリングリストに入ったり、ホームページを作ったりと日常生活の中で欠かせないものなっているが、この10年間のウェブの進展には驚くばかりである。

最初のころはヤフーにHPを認知してもらうことに喜びを感じたが、その後HPに代わってブログの普及しいつの間にかそれが主流になり、誰もが情報発信できるようになった。また楽天などのネット上で買い物ができるようになったショッピングのポータルサイトが出てきたも大きな変化である。しかし、日常一番多く利用しているのは「情報」や「知識」の収集である。そのなかで検索エンジンも進展し、特グーグルが登場し、あっというまにウェブ社会の中心になってしまったことである。

先日 田原総一朗氏が「週刊朝日」の連載の「ギロン堂」で「情報帝国グーグルの危険性」というコラムを載せている。彼が創業者の一人サーゲイ・プリンと会ったとき彼は「グーグルは世界に存在するあらゆる情報を、すべてのウェブ上のデータベースに集めて分解し、重要度のランキング化する」と述べたそうである。

丁度、梅田望夫著「ウェブ進化論ー本当の大変化はこれから始まる」、佐々木俊尚著「グーグルー既存のビジネスを破壊する」を読む機会があり、この本を通してグーグルの活動(営業内容)をしることがでた。梅田氏はこれからのネット社会の3大潮流として「インターネット」、「チープ革命」、「オープンソース」を挙げているが、この最先端をいっているのがグーグルということらしい。



特にグーグルが行っているのは「知の再編成」ということであると梅田氏は述べているが、佐々木氏も「人類の知と呼ばれる分野のデータを2009年までは検索可能になっている」と関係者が述べていることを紹介している。われわれ個人としてはあらゆる情報がインターネット上で検索できることはありがたい。梅田氏は「オープンソース」現象の一つとして、知的内容が無料でウェブを通して知ることできる事例を挙げているがこれは今までないことである。

しかし、問題点がないわけでもない。田原氏に言わせると「グーグルの検索サイトにヒットしない情報は「存在しない」ということになってしまう」と述べているが、すでに検索サイトから削除されている事例が出てきているという。佐々木氏も「グーグル八分」と称し、グーグルから排除されることの恐怖」が生まれているという。

ウェブ社会の進化については、「あちら側」(情報発電所)や「Web2.0」や「ロングテール」の問題などIT企業に関わる問題もあるが、私にとっては「情報問題」が一番関心がある。しかし、梅田氏がいうようにこのよう現象は「ネット社会」に住む人たちの問題で、その社会にいなくてもこれまで生きていける時代が続くのではないか」という冷静な分析も頭に入れておく必要がある。先日も朝市で娘に「ワラビ」を送りたいと近隣の村から歩いてきた89歳の老婆と出会い、帰りに送っていったが、「ネット社会」と全然関係ないこの老婆との話がネットでは得られない暖かい情報であった。

梅田望夫著  ウェブ進化論  ちくま新書  2006年2月刊
佐々木俊尚著 グーグル    文春新書   2006年4月刊